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【植物の28感覚とは】香りは“言葉”だった?──アロマテラピーに宿る植物の叡智

「植物には28の感覚がある」

そう聞いて、あなたはどんな印象を持つでしょうか?

私たち人間が持つ感覚は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五つ。しかし、植物たちはその“常識”を遥かに超え、まるでSFの世界のような繊細な知覚ネットワークを駆使して生きているのです。

この世界に根を張る静かな存在──植物。

彼らは動くことも話すこともできません。ですが、実は**「光を見て」「音を聞いて」「匂いを嗅ぎ」「触れて感じ」「化学物質を察知する」**ことができる、極めて洗練された存在なのです。そして私たちアロマセラピストは、その植物の叡智を、「香り」という形で日々取り扱っています。

今回は、近年の植物科学が明らかにしつつある植物の28感覚の世界について、アロマテラピーと結びつけながらご紹介します。


香りは“メッセージ”だった──植物の感覚の中核にある化学コミュニケーション

植物の「感覚」の最たる例は、匂い=揮発性有機化合物(VOC)を使った化学コミュニケーションです。

たとえば、トマトの葉が虫にかじられたとき、単に葉が破れただけではありません。その瞬間、トマトは警告フェロモンのような匂い成分を発し、周囲の仲間に「敵が来た!」と伝えるのです。そして、この情報を受け取った別のトマトは、自らの葉に毒性物質を生成し、虫に備える──。

これはまるで、植物たちが“会話している”かのような現象です。

そして私たちが愛するラベンダーやローズ、ユーカリやティートリーの香りも、実は植物が外敵や環境と戦うために生み出した「防衛の声」「誘惑の囁き」「癒しの力」を内包しているのです。


光・重力・湿度・音・磁場…想像を超える植物の感覚

植物が持つ感覚は、「香り」だけではありません。

彼らは光を“見る”ことで、昼と夜、季節の変化、植物同士の位置関係を正確に捉えています。赤色光・青色光・紫外線など、波長の違いに敏感に反応し、それぞれに異なる行動(発芽、伸長、開花)を取るのです。

重力を感じる力も持っています。種を撒くと、根は下へ、芽は上へと伸びますよね?これは植物が“地球の引力”を認識しているから。内部には重力を感知する専用の細胞とタンパク質があり、方向を把握しながら形を整えていくのです。

さらに驚くべきは、植物が音や振動を感知しているという研究結果。ある実験では、根が特定の音に向かって伸びることが観察されています。これは、雨音や虫の接近など、音による“環境の兆し”をキャッチしていると考えられているのです。

湿度や温度も敏感に察知し、気孔の開閉を自動的に調整。水が足りなければ気孔を閉じ、蒸散を防ぎます。乾燥や寒冷などのストレスにも、微細な変化で応答しているのです。

磁場の感知まで可能とされており、地磁気を利用して根の進行方向を調整している可能性もあります。


「触れる」ことでわかる世界──触覚と記憶を持つ植物たち

つる植物が支柱に絡みつく。オジギソウが触れられて葉を閉じる。

こうした反応は、植物が触覚を持っている証拠です。そしてここで重要なのは、それが一時的な反応ではないという点。植物たちは、繰り返し起こる刺激に対して“慣れ”を示すのです。

たとえば、オジギソウに何度も無害な刺激を与えると、やがて反応しなくなります。これは“学習”であり、刺激の意味を「記憶」していることに他なりません。

つまり植物は、単に受動的に環境に晒されている存在ではなく、“体験を蓄積し、それを行動に反映させる「知性ある存在」”なのです。


精油の一滴に宿る、28の感覚の記憶

ここで思い出していただきたいのが、私たちが日々扱っている精油の存在です。

ローズの香りは、花を咲かせ、虫を呼び寄せるために選び抜かれた周波数を持ちます。ティートリーの香りは、微生物との戦いの中で獲得した「抗菌の盾」。ラベンダーの鎮静作用も、植物が過酷な環境に耐えるために生み出した自己防衛の手段です。

精油とは、言わば植物の感覚の結晶。

28の感覚で受け取った世界の情報を、分子として閉じ込めたものなのです。

私たちはそれを「香り」として嗅いでいますが、そこには植物の命の履歴、環境との対話、仲間への呼びかけ、敵への警告が詰まっているのです。


植物に学ぶ、私たちの“感覚の拡張”

アロマセラピーは、植物の香りを通じて人の心や体に働きかけます。しかし、そこにあるのは一方通行の癒しではありません。

香りに意識を向けたとき、私たちは植物の感覚に触れることになります。

人間の五感では到底感じることができない微細な変化、音、振動、化学信号、記憶のような反応。それを知ったとき、アロマはただの「香りの癒し」ではなく、生命の叡智との交信になるのです。


最後に:香りを「感じる」だけでなく「聞いて」みませんか?

次にラベンダーの香りを手に取るとき、ただ香りを感じるのではなく、「この香りはどんな経験をしてきたのか」と耳を傾けてみてください。

それは土の中の湿度、太陽の角度、近くに生えていた植物たちとの会話──そんな世界が、香りの中に宿っています。

アロマは植物からのささやき。私たちがそれを“感じる”ことこそが、本当のセラピーなのかもしれません。


🌿 あなたの五感を超えた世界へ。香りが導く植物の宇宙を、これからも一緒に探求していきましょう。

瓜田綾子

アヤアルケミスト株式会社 代表取締役 AEAJ総合資格認定スクール アヤ アルケミック スタジオ校長 AEAJ全資格を所持 経歴: 1969年生まれ。音楽演奏者、エステティシャンを経て、2007年よりアロマテラピーの道へ。出産を機にアロマテラピーの効果を実感し、2009年にアヤアルケミスト株式会社を設立。アロマテラピーの普及と教育に尽力。主な資格: - (公社)日本アロマ環境協会認定アロマセラピスト - (公社)日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクター - (一社)和ハーブ協会認定和ハーブインストラクター - 米国ハワイ州ホリスティックケアリング協会認定リンパドレナージュトレーナー実績: - 2010年(公社)日本アロマ環境協会総合資格認定校として承認 - 2016年〜2019年 藤沢市民病院でのアロマボランティア活動およびアロマトリートメントケアサロン運営 - 2018年 第19回湘南ビジネスコンテストにて来場者賞、なでしこ起業家賞をW受賞 - 慶應義塾大学SFC研究所との共同研究実施現在の活動: - アヤアルケミックスタジオにて、アロマテラピーインストラクター、アロマセラピスト育成 - 湘南和ハーブの会運営 - 荏原湘南スポーツセンターでのスポーツアロマサロン運営 - 慶應義塾大学SFC研究所所員として研究活動 - 湘南思春期クリニックと連携し、不登校の子供たちとその保護者向けのアロマケア提供(2024年夏〜予定)理念: "アロマテラピーを通じて、人々の心と身体の健康と美しさを引き出し、Quality of Life(生活の質)の向上に貢献する"という理念のもと、安全で質の高いアロマテラピー教育と実践を提供。医療分野との連携や研究活動を通じて、アロマテラピーの可能性を追求し続けています。瓜田綾子は、アロマテラピーの専門家として、教育、研究、実践の場で幅広く活躍。その経験と知識を活かし、心と体の健康づくりに貢献しています。

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