精油は新型コロナウィルスに効果があるという巷での話題
こんにちは。瓜田です。
生徒さんから「ある方から「○○社の△△という商品とオレガノ精油をブレンドすると全ての菌が生きられなくなる。」とか、「新型コロナウィルス に効果があるのでそれを使っているからマスクはいらない」と言っている人がいて、その商品は会員じゃないと買えないけど、自分なら買えるからとすすめられたんですが、本当に効果があるんですか?買ったほうがいいんですか?」と聞かれました。
「来たか・・・」
遅かれ少なかれ必ず出ると思ってました。
どうやら海老蔵さんのブログから出たお話みたいですね・・・
社会に影響のある方は、自分の発言に責任が生じるのですから、気をつけていただきたいものです。
実は、似たような話はあちこちから同時に耳に入ってきておりました。
黙っていようと思っておりましたが、静観できない状況というかハラワタが煮えくりかえってきたので、現時点での私の見解をお伝えしたいと思います。
結論から言いますと、
精油が新型コロナウィルスに効くという話は現時点(2020.3.15)ではありません。
それにそもそもこれは関係者なら言ってはいけないことです。
一つずつ順を追ってお伝えしていきたいと思います。
まずは薬機法違反です。
雑貨である精油に効果効能があると、あきらかに商品名特定して販売しているので、薬機法違反です。
ここ注意なんですが、例えば、ラベンダー精油のラベンダーの香りって眠れないときに効果があると話すだけならOK。しかし、ここでも精油は雑貨であることをきちんと伝えなければなりません。
とにもかくにも精油は雑貨ですから、なによりもあたかも薬と勘違いさせるような表現をしてはいけないのです。
そして雑貨だからこそ、私達のように無資格者が扱えるのです。
さらにここで「この商品は・・・」と商品が出てくると、この効果効能はその商品に特定されます。
そこもNGなのです。
私が外部の講座で精油についてお伝えする機会がありますが、帰り際に中には「精油は売っていないんですか?」と聞かれる方もいらっしゃいます。ですが、販売するための精油は持っていかないです。
ここで精油を販売してもしバレたら、私はお上にお縄です(^_^;)
そして、これを指摘すると
「精油の方が薬よりも効果があるから医者や製薬会社が困るから国が許可しない」だのって言い始めるんだなこれが(^_^;)
明らかに健康被害が出ているのに
「精油が原因だなんてことはないはず。だって天然だから安心だし、みんなそう言っていたし、だからアロマが原因なはずがない。好転反応だ。」と言って、体がSOS出しているのに無視したり。
私の方には何人かの医療関係者からはっきりとは断定はできませんが、精油の大量摂取により、健康被害で入院した方がいると報告を頂いております。
こういう盲信者は放っておきたいんですけど、厄介なことに自分で考える習慣というものがないから疑問を持たないので簡単に他人に伝えてしまう。
しかも悪気がないのでさらに厄介。
自覚もないし。
だからウイルスのようにあっという間に広がる。
口コミの恐ろしさでもあり、群衆心理でもあります。
余談ですが、この群衆心理は、人間の根本的な欲求、つまり生理的欲求=本能=恐れ・不安・不快を避ける=衣食住に関しての不安などを刺激すると、容易に操ることができます。
洗脳の手法です。
論文とエビデンスは別物です。
まず勘違いしている方が多いので、お伝えしますが、エビデンスと論文は全く別物です。
論文があるからと言って、それが結果として信頼できるかは別問題です。
対し、エビデンスは証拠です。
論文がpubmedから出ておりました。
https://springeropen.altmetric.com/details/184971/facebook/page:16
新型コロナウィルス が今までの肺炎やインフルエンザ、旧型?コロナウィルスと同様として考えた時でのお話だと思います。
また、こちらの論文ですが・・・よく読んでみるとin vitroという記載があります。
つまり試験官内でイヌの腎細胞では効果があったというだけのことですので、人体にはどう影響があるのかはわかっていません。
マルチ商法の方はこれが効く証拠のように言うのですが、イヌの細胞と生きた人間の細胞が同じなわけはない。
これから発展して研究がされるんでしょうけれど、
香りは二重盲検試験は難しいです。
だってブラインド(目隠し=わからないようにする)できないんです。
においがしちゃうから(笑)
今回の新型コロナウイルスは、従来のコロナウィルスとでは明らかに違うということで、対応が大変な訳です。
動物実験も同じことが言えます。
動物実験でも、被検体によっても結果がまるで違うのです。モルモットとラットとマウスでも正反対の結果が出ることもあります。
動物と人間は遺伝子は似ておりますか?
そのため、いくら動物実験したからと言っても安心なんてできないし、意味がないのです。
肝毒性ということは・・・薬の解毒や免疫に関わります。
植物は、自分自身が殺菌、抗菌、抗真菌、抗ウイルス作用を生み出す有機化合物を生成しています。
ただ、それが今回の新型コロナウイルスに効果があるとは、はっきりは言えないし、言えるわけがないのです。
そもそも新型コロナウィルスをどうやって手に入れるんでしょう?
遭遇しなければ実験はできないですし、実験しなければ効果があるだなんて言えるわけがないんですが・・・。
精油はどうやって抗ウイルス作用を発揮するのか?
一応ここで精油のもつ抗ウイルス作用の仕組みについてお伝えしておきますね。
ウイルスには2種類あり、エンベロープと呼ばれる脂質の膜で包まれているウイルスに対しては、エンベロープに精油が吸着することでウイルスが宿主細胞に吸着・侵入するのを阻害します。ですから、エンベロープがないものに関しては効果は発揮しません。
新型コロナウイルスは、ウイルス学的特徴として、脂質二重膜のエンベロープがあるので、精油の抗ウイルス作用が発揮されるウイルスということのようです。ただ、DNAが今までのコロナウィルスと違うので「新型」と言われているので、同じように働くかはまだわかっていないようです
オレガノ精油について
①オレガノ精油の毒性について
オレガノ精油は一般的ではないです。
カルバクロール、チモール(両方ともフェノール類)が高濃度で入っているため、確かに抗菌性は高いです。しかし、このフェノール類はクローブ精油同様肝毒性、神経毒性が強い精油です。
◯社の商品の成分について
こちらの成分を調べてみました。
オレンジ精油、チョウジ精油(クローブ精油)、シナモン樹皮精油、ユーカリ葉油、ローズマリー精油
クローブ精油とシナモン樹皮精油は作用が強いです。つまり使い方次第で毒です。
【クローブ精油】
オイゲノール(82%)、カリオフィレンオキサイド、β-カリオフィレン、酢酸オイゲニルなど
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/97-53-0.html
【シナモン樹皮精油】
シンナムアルヒド、シンナミルアセテート、オイゲノール、β-カリオフィレン、リナロール
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0103-0345JGHEJP.pdf
リンク先をご覧いただくと、そう気軽に使える精油ではないことがおわかりになると思います。
ちなみにフェノール類だけではなくシンナムアルデヒドのアルデヒド類は皮膚刺激に注意です。
そして先程の
【オレガノ精油】
カルバクロール
https://m.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_cb6134604.htm
チモール
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/89-83-8.html
いずれも毒性が高い成分として挙げられています。
SNSで「カルバクロール」が多いから、抗菌作用や殺菌作用が強いので安心なのという投稿を見かけるのですが、何が安全なの?
以前、歯痛にはクローブ精油を原液で1滴塗れば効くよ〜っと言われて仰天した覚えがあります。
ここで、物事には捉え方あります。
つまり「効く」と言われて素直に「効くのはいいね♫」と思うのか、「効くってどういうこと?怖くない?なぜ痛みがなくなるの?」と疑問に思う捉え方するかです。
「効く」ということは、使い方を誤れば反面「毒」でもあるということなのです。
例えば鎮痛作用
痛みが治まるって素晴らしいですよね。
でも、なぜ痛みが治まるの?そもそもなぜ痛みなんてあるの?
痛みは人の体を守るためにあります。
考えてみて下さい。
手をけがしても痛みを感じなかったら自覚がないので重症化することもあるのです。
実際にそういう病に冒されているかたもいらっしゃいます。
そういう方は常に命の危険にさらされています。
そして、痛みは神経を通して脳で感じるようになっています。神経が電気製品のコードの役割をしているので、その神経の伝わりが悪かったり、脳も痛みを感じにくい状態ですと痛みは鎮まります。
ここでは割愛しますが、脳が痛みを感じるにはストレスも大きく関与します。
つまりは適量ですと鎮痛=多い場合は神経麻痺=神経毒性になります。
作用があれば反作用が必ずあります。
化学でも酸化還元反応は同時に起こりますよね。
ものごとは陰陽でできているので、プラス面があったら、それだけで喜ぶのではなく、必ずどこかにマイナス面があると思って注意深く観察するべきです。
薬=毒
です。
全ての菌が生きていられない???
全ての菌が死滅するという意味ですが、
おそらく、言葉自体を間違って使われていると思います。
口コミの方は根拠もなく大げさに言うことが多いです。
つっこむと答えられる人はまずいません。
私がもしこういった商売をするなら、一人でノリツッコミして、どこから矢が飛んできても大丈夫なのように知識武装しますがね。
全ての菌を殺すことは殺菌とは言わずに「滅菌」と言います。
滅菌とは有害・無害を問わず、増殖性を持つあらゆる微生物(主に細菌類)を完全に殺滅又は除去する操作のことをいいます。
乾熱滅菌と蒸気滅菌の2つだけで、両方とも高温で滅菌します。
アロマテラピーでの滅菌は不可能ですし、次でお話ししますが、アロマテラピーで滅菌ができるというのでしたら、そもそもアロマテラピーが薬剤よりも良いという方々の言い分に矛盾が生じてきます。
「全ての菌を殺す」ということと、精油が薬剤よりも優れているということとの矛盾点について
言葉の矛盾
精油の素晴らしさや面白さの話なのですが、人体にとって有害な微生物や細菌に対して効果があります。つまり殺菌ということです。そして増殖を抑えることもあります(抗菌と言います)。ある種の真菌やウイルスに対しても同様です。
ですが、人体にとって、無害な菌つまり常在菌に対しては、そのような強い作用を示すことがほとんどないのです。程よい強さということです。自然界の1/fゆらぎ効果みたいですが・・・
これに関してはまだ未解明ですが、こう言ったことが精油やそれを生み出す自然界の素晴らしさを考えるところです。
◯◯の方々は、だから薬と違って精油は安全という風に話されます。
ですが、全ての菌が死滅するというのでしたら、それをそもそも勧めているネタにしているのに矛盾することになりますよね。
要するに商売!
すすめている方はある精油のマルチ商法をしています。
ここで誤解をしないで頂きたいのですが、私はマルチ商法やそこの会社の精油を否定しているのではありません。
精油は少量で十分です。
でも、AEAJで勉強しているような使い方ですと少量ですので、商売になりませんから、量を販売するために高濃度で使わせるように仕向けます。
それもメディカルと言い換えて飲用や塗布をすることがあたかも「効く」そして、これが良いことのようにです。
これは日本独自の販売法だそうです。誰か売ることに長けた賢い人が考えたのでしょうね。
医療資格がないので、責任もない、そして精油は薬と同様の効果があるので使い方は要注意であるのに知識がなさすぎます。
そして精油は雑貨扱いであるからこそ、一般人である私たちが扱えるのに海外では薬同様と言い、無資格で知識も大してない人たちが薬と同様またはそれ以上と話して普及させようとする。
人の弱みにつけ込み大量に使わせ、結果的に調子が悪くなると好転反応だと言ってさらに使わせる・・・
このスパイラルで、健康被害で入院した方を2人ほど医療者から相談を受けております。
恐ろしいことに健康被害にあったとしても訴えることはできないんですよ。
証明も難しいです。
アロマテラピーは医療ではないので、自己責任だと言い逃れてしまうことができます。
だからこそ、医療者はグレーゾーンとして取り入れるのも慎重なのです。
アロマテラピー関係者が注意すべきこと
私は精油に助けられたことがきっかけでアロマテラピーの業界におりますので、精油の力を信じております。
自分や家族に対して、そして深い事情までご理解していただけるような方々にお伝えするような個人的な見解はそれでも良いのですが・・・
スクールの講師、セラピストという責任ある立場で、広く一般にお伝えする場合は、そうはいかない場合が多く、いつも注意していることがあります。
アロマテラピーは万能ではなく、全てではないということです。
精油を万能視することで、精油の薬理効果ありきで物事を見てしまうと、効果があって欲しいという私の思い込み(先入観=バイアス)により正しい事実が見えなくなってしまい、結果的にねじ曲げてしまう恐れがあります。予言の自己成就とも言います。
この話と先ほどの「信じるものは救われる」的な二重盲検法の時にお伝えしたプラシーボ効果もそうですが、諸刃の剣ともなります。仕組みをわかっていて使用すれば百人力です・・・知らないと自分自身を傷つけることになります。余談ですが、こういったお話は行動経済学としてマーケティングなどに巧みに利用されています。
こんな世間がパニックに近い状況のときは、メタ認知という自分を俯瞰する能力が問われます。自分をもう一人の自分が客観視するような感じです。
ただ、香りによって心身の状況が変わり、ストレスケアになるというところは、自信を持って効果があると言い切ることができます。
どんな病も免疫力の低下がきっかけになります。
この免疫系は他にも神経系、内分泌系と協力して恒常性の維持を調整しているのですが、これをコントロールしているのが視床下部です。ここまでは前回お伝えした通りです。
そしてこの視床下部を素早くコントロールできるのが、唯一香りの情報になります。
皆様には、個人的見解とスクール講師としての立場での見解と両側面でお伝えしてしまっているので、混乱させてしまっていたら申し訳ないなと思います。
説明はご理解いただけるまで何度でもいたしますので、お問い合わせフォームまでご質問下さいませ。
最後までお読み頂きどうもありがとうございました。